ニコンから登場した「Z5IIC」。名前を見るとZ5IIに「C」を付けたモデルですが、実際には何が違うのでしょうか。Z5IIユーザーの立場から、ニコンの公式仕様や発表資料を読み比べてみました。

先に結論を書くと、Z5IICはZ5IIの画質や主な動画機能を引き継ぎながら、ファインダーをなくし、背面モニター中心の撮影に振ったカメラです。一方で、シーンモード、魚の被写体検出、フィルムグレインといった、Z5IIには見られない機能もあります。
この記事は公表されている仕様を調べたもので、Z5IICを実際に使用したレビューではありません。操作感や画質の実写比較は行っていない点を、あらかじめお断りしておきます。
Z5IIとZ5IICの主な違い
今回の調査で明確になった違いは以下の通りです。Z5IICの欄にて削除などについてはピンク、機能追加・UPについてはイエローでマーキングしています。
| 項目 | Z5II | Z5IIC |
|---|---|---|
| 電子ビューファインダー | あり・約369万ドット | なし |
| 背面モニター | 3.2型・約210万ドット | 3.2型・約104万ドット |
| SDカードスロット | 2スロット | 1スロット |
| 被写体検出 | 9種類 | 魚を加えた10種類 |
| シーンモード | なし | 15種類 |
| フィルムグレイン | なし | あり |
| 部材削除 | - | ・視度補正ダイヤル ・モニターモード切り換えボタン ・サブセレクター ・AF補助光ランプ/赤目軽減ランプ/セルフタイマーランプをRECランプ/セルフタイマーランプに変更 ・U3がシーンモードに変更 |
| 本体サイズ | 約134×100.5×72mm | 約134×80.5×72mm |
| 重量 | 約700g | 約620g |
| 米国サイトの開始価格 | 1,399.95ドル |
主な数値は、ニコンのZ5II仕様とZ5IIC仕様を参照しました。米国での開始価格は、Z5IIとZ5IICの各製品ページの 2026/9/25時点の表示価格です。
Z5IIユーザーとして気になる違い
ファインダーなしで撮るカメラ
いちばん大きいのは、Z5IICに電子ビューファインダーがないことです。

Z5IIではファインダーを覗いて撮れますが、Z5IICでは背面モニターで構図を決めるスタイルになります。
若い方はこのスタイルで良いでしょうが、老眼ユーザーにはつらいところでしょう。(カメラを手を伸ばして離さないと画面に目のピントが合わないのです。そのため表示などが小さくなり見えないという…)
背面モニターは両方とも3.2型のバリアングル式で変わらず。
ただし、ドット数はZ5IIが約210万、Z5IICが約104万です。ファインダーがないZ5IICでは背面モニターを見る時間が長くなるだけに、この差は店頭で表示を確認したいところ。仕様だけで見やすさを断定はできませんが、Z5IIユーザーにとって気になる変更点だと思います。
所有しているZ50、Z30がZ5IICと同じ約104万ドットなのですが、正直気になったことがありません!(老眼フィルターかしら?)
軽く、上部がフラットになった
Z5IICはZ5IIより高さが約20mm低く、バッテリーとメモリーカード込みの公称重量も約80g軽くなっています。幅と奥行きの公称値は同じなので、「全体がひと回り小さい」というより、ファインダー部の出っ張りがないフラットな形に変わった、と捉えるのが近そうです。

持ち歩くときの収まりは魅力的ですが、レンズ込みでどれくらい身軽に感じるかは、組み合わせるレンズと実際の持ち方で変わります。ここは数字だけで評価せず、触って確かめたいところです。
700g→620gなので1割以上軽くなっているのですが、う~む。
このような重さを見ると、OM SYSTEM PEN の 393gがいかに軽いか再認識されますね。(センサーサイズが大きく違いますが!)
カードスロットは2基から1基へ
Z5IIのSDカードスロットは2基。2枚に同じ画像を記録するバックアップ運用ができます。一方、Z5IICはUHS-II対応SDカードの1基です。普段からZ5IIで2枚同時記録を使っているなら、ここはEVFの有無と同じくらい重要な違いになります。

個人的にはカード1枚で運用しているため、スロットは1基でOKです。(事故が発生するまではきっとダブルスロットの必要性が認識できないのでしょうね…)
シーンモードと「魚」検出が追加
Z5IICには、モードダイヤルから選べる15種類のシーンモードがあります。人物、ペット、料理、夜景、夕焼けなど、撮りたい場面を選ぶと、カメラがホワイトバランスやピクチャーコントロールなど複数の設定を調整してくれる機能です。Z5IIには、このシーンモードはありません。
*シーンモードの内容については後述します。
AFの被写体検出もZ5IIの9種類に対し、Z5IICは「魚」を加えた10種類。水族館や観賞魚を撮る人には、メリットのある追加点です。
(時期を見てZ5IIにもファームアップデートで追加されるとうれしいですね!)

フィルムグレインも搭載
Z5IICには、写真や動画に粒状感を加えるフィルムグレイン機能があります。粒の大きさや強さを調整できると、ニコン米国の発表資料に記載されています。ただし、動画で使う場合には制限があるとの注記もあります。
Zfで搭載されている機能ですが、Z5IICでは静止画の楽しみを追加したのでしょう!
動画はどのくらい違う?
動画の基本仕様を見る限り、コーデックやLogを目当てにZ5IIからZ5IICへ乗り換える理由は見当たりません。両機とも4K UHD/60p、フルHD/120p、カメラ内N-RAW記録、H.265の10-bit記録、N-Log、HLGに対応しています。ただし、4K/60pでは両機ともDX相当の画角にクロップされます。
記録形式も共通で、N-RAWは12-bit、H.265/HEVCは8-bit・10-bit、H.264/AVCは8-bitです。
動画で新たに気になったのは、Z5IICの前面にある録画中を知らせるRECランプです。Z5IIにも背面モニターの赤い録画枠表示はありますが、自分をカメラに向けて撮るとき、前から録画状態を確認できる点はZ5IICの特徴と言えそうです。反対に緑色のAF補助光・赤目軽減ランプが削除されています。(ZRと同様)
接続端子は、確認した公式仕様ではどちらもUSB Type-C、マイクロHDMI(Type-D)、3.5mmマイク入力、3.5mmヘッドホン/有線リモコン兼用端子という構成です。
シーンモードはZ50に近い?
Z5IICの15種類を初代Z50のシーンモード一覧と見比べると、名称上はZ50の16種類から「Night Portrait(夜景ポートレート)」を除いた構成です。同じ名前だから内部の設定まで同一とは言えませんが、以前のニコン機にあった撮影サポートを、フルサイズ機に取り入れたように見えます。

ここからは推測です。Z50IIでは内蔵フラッシュとNight Portraitモードを組み合わせた撮影が案内されています。Z5IICには内蔵フラッシュがないので、それがNight Portraitを設けなかった理由の一つかもしれません。
Z5IIユーザーから見たZ5IIC
調べる前は「ファインダーを取ったZ5II」という印象でした。仕様を追うと、たしかに撮像素子や主な動画記録機能は近い一方、15種類のシーンモード、魚の検出、フィルムグレインなど、Z5IIC側に加わった要素もあります。

ただ、私がZ5IIから替えると考えた場合、判断の中心は新機能よりも「EVFなし」「背面モニターのドット数」「SDカード1枚」という使い方の変化です。ファインダーを使わず、画面を見て気軽に撮ることが多いならZ5IICは面白い選択肢。一方、ファインダー撮影や2枚同時記録を重視するなら、Z5IIを使い続ける理由は十分にあります。
Z5IICはZ5IIの単純な上位・下位モデルというより、同じフルサイズ画質を別の撮り方で楽しむための選択肢。Z5IIユーザーとしては、まず店頭で背面モニターの見え方と、EVFなしでの構えやすさを確かめてみたいカメラです。
Z5IIC の投入でフルサイズセンサーの間口が広がると良いですね!