いくらスマホでの手振れ補正が高性能になったとはいえ、スマホでの動画撮影をより上質なモノにするならばジンバル(スタビライザー)が必要です。今回、 hohem M6 Kit を試用することができたため、レビュー紹介します!
評価のために撮影などをおこないましたが、この hohem M6 Kit は使っていて楽しくて仕方のないジンバルでした!
これはかなりイイ!!
スマホのカメラが継続的に高性能化しているなか、このような本格的なレベルのスマホジンバルは一定のニーズがあるはず。(ミラーレス用のジンバルと近い機能・性能ですが、軽量なのです)
また、性能の高さから、多様な撮影シーンに対応。室内でのローアングルのペット撮影などにも効果的なジンバルです。
hohem M6 Kit は、本格的にスマホでの動画撮影をおこなうなら購入するべきスマートフォン用ジンバルです。
▼ 今回紹介する商品はこちら!
目次
hohem M6 の製品仕様と製品バリエーション
hohem M6 Kit の 製品仕様 は以下の通り。
重量(ジンバル) | 551g (バッテリーを含む) |
メイン材質 | 高機能コンポジット |
有効荷重(ペイロード) | 400g |
装着可能なスマホの幅 | 58mm~98mm |
バッテリー容量 | 2600mAh 7.4V / 19.24Wh |
バッテリー寿命 | 最大18時間(ジンバルが完全にバランスを保っている理想的な状態の場合) 6~8時間 (AIトラッキングとフィルライトを最高輝度で使用の場合) *HOHEM実験室におけるテスト結果 |
充電時間 | 3時間 (5V 2A) |
動作範囲 | パン:無制限の360°回転 ロール: 335° チルト:335° |
作動温度 | -10~45°C |
モーター保護 | ジンバルの電源が自動的に切れ、誤操作による損傷からモーターが保護されます。 |
*日本国内では、hohem M6 ですが、海外では Hohem iSteady M6 と呼ばれています。Hohem joy アプリ内やジンバル本体にも iSteady M6 と表示されています。
Study(勉強)ではなく、Steady(安定。いわゆる steadicam (ステディカム)の Steady)
hohem M6 kit の特徴は以下の通りです。
- 3軸手ぶれ補正
- 最大耐荷重(ペイロード)400g。iPhone の Pro MAX も対応可能。
- 360度回転可能(パン軸)。可動範囲が広い。
- 超広角レンズを使った撮影でもジンバルのアームの映り込みがない
- 充実の操作部材で撮影中の操作性が手元で可能
- 0.91インチOLEDディスプレイにより状態を把握しやすい
- 最長18時間駆動の長時間のバッテリーライフ
- いざという時のスマホ充電機能
- ジンバルに周辺アクセサリーの取り付けが可能
- マグネットで取り付け可能なフィルライト(Kit版のみ)
- アプリに依存せずAIトラッキングが可能(Kit版のみ)
hohem M6 には、「hohem M6」と「hohem M6 kit」の2種類のパッケージが存在
hohem M6 には、「hohem M6」と「hohem M6 kit」の二種類のパッケージが用意されています。バッケージの違いは「AIセンサー付きのマグネット式フィルライト」の有無だけです。
パッケージ名 | 価格 | 内容物 | AIセンサー付きマグネット式フィルライト |
hohem M6 | 21,980円 | ジンバル本体、三脚、USB-C充電ケーブル、USB-C-USB-C充電ケーブル、キャリーケース、ユーザーマニュアル | 無し |
hohem M6 kit | 27,980円 | ジンバル本体、磁気フィルライト、三脚、USB-C充電ケーブル、USB-C-USB-C充電ケーブル、キャリーケース、ユーザーマニュアル | 同梱 |
▼ hohem M6 kit のセット内容
▼ こちらが AIセンサー付きマグネット式フィルライト。非常に軽いが、この中にライトと人物を追跡するAIセンサーが内蔵されている。
M6 と M6 Kit の差額は 6,000円。マグネットで簡単に固定でき、ライトの電源はジンバルから供給され、充電の必要のないミニライトとしても非常に便利な存在です。
センサーでの追従は必要がなかったとしても、hohem M6 を購入するのであれば、この AIセンサー付きのマグネット式フィルライトが付属した hohem M6 kit の購入がオススメです。
購入前に要チェック!hohem M6 関連ドキュメントについて
購入前には、hohem M6 が使用予定のスマートフォンとの互換性についてチェックしましょう。(互換性ガイド)
また、自分のやりたい事ができるのか、何ができるのかがわかる使用説明書も公開されています。
→ アマゾンの商品ページを開き、ページ中ほどの下図のリンク部分からアクセスします。
互換性ガイドでは複数のカメラを搭載しているスマホの場合、どのカメラに対応しているのか、サポートする画像サイズ・フレームレートなど細かく記載されています。
hohem M6 kit の実機をチェック!
それでは hohem M6 kit の実機をチェックしていきましょう!
▼ まずはパッケージをチェック。以前レビューしたhohem XEのパッケージとM6 kit のバッケージを並べてみました。このサイズの違い!
hohem M6 Kit の外箱は光の加減で虹色になる高級感のあるパッケージです。
▼ hohem M6 Kit のパッケージ裏側。同梱物や機能・特徴についてわかりやすく紹介されています。
▼ 長辺側で約34.5cmの幅を持つキャリーケース。移動の際に役に立つ。
▼ キャリーケース上部には持ち手があり持ち運びも簡単。また、キャリーケースの重量は実測で346g。サイズに対して非常に軽い印象です。
▼ キャリーケースの内部。ジンバルに負荷を与えず、安全に運ぶことができる。また、ポケットもあるため説明書や差の他のアクセサリー類を入れておくことも可能。
セット内容については、仕様の項にて紹介済みです。ここでは、付属品それぞれにチェックしておきましょう。
▼ hohem M6 Kit に付属する充電用USBケーブル。hohemのロゴが入っています。電源側 USB Type-A、ジンバル側 USB Type-C になっているケーブルです。
▼ hohem M6 Kit に付属するスマホ充電用のUSBケーブル。両端 USB Type-C、カールコード仕様です。(Lightning端子のiPhoneの場合には別途ケーブルが必要です)
▼ hohem M6 Kit に付属する三脚。軽く出来ていますが、ジンバルを支える強度を持っています。質感も非常に良い!
▼ 三脚を開いた状態。1本の脚の長さは約9.5cm
▼ ジンバル本体底面に三脚穴があり、三脚を固定できる。また、ストラップホールの存在も大切です。(ストラップは付属しません)
落下防止、一時的なぶら下げ用にストラップが欲しい!(あっても撮影に邪魔で使わない?)
▼ 同じ hohem の hohem XE(左)とのサイズ感の違い。M6 は XEよりもかなり大型だが、機能性・性能が高い。本格的に撮影するなら hohem M6 だ。
▼ M6 と XE とでは、デスクに置いた際の占有面積も大きく違う。
hohem M6 について詳しく見て行きます。
Hohem M6 操作まとめ
これから各操作部材の紹介をしますが、その紹介の前に、Hohem M6 の操作内容をまとめておきます。それぞれ詳細についてはマニュアルを参照してください。
Hohem M6 では同じボタンでも、押す回数・長さによって設定機能が変わってきます。トリガーボタンの場合、4回押しまで用意されておりはじめは少し複雑に感じます。
しかし、自身で下のような表を作成し整理すれば、かなり頭に入り簡単に操作できるようになります。
操作部材 | 1回押す | 2回押す | 3回押す | 長押し | その他 |
電源ボタン | 電源がオンの時:スタンバイモードに入る | スタンバイモード中:ジンバルが起動 | - | 電源オン/オフ(3秒間) | - |
M(モード)ボタン | モード切替え (PF-PTF-L-POV) | - | 「ICP」インセプションモード | - | - |
トリガー | - | ジンバルの再設定 | 逆180°パンニング回転 | スポーツモード「S」 | 4回押す:超広角撮影モード ダブルタップして後のタップを長押しする:オールロック |
ズームレバー | ズームイン/アウト(要HJ) | - | - | - | - |
シャッターボタン | 半押し:フォーカス(要HJ) 1回押す:写真の撮影。ビデオ撮影の開始/終了(要BT) | 写真/ビデオの切り替え(Hohem Joy / Android 10.0以降で利用可能。Bluetoothのペアリングを確認してください。) | フロント/リアカメラ切り替え(Hohem Joy / Android 10.0以降で利用可能。要BT) | - | - |
ジョイスティック | 上下に押す:チルト回転の制御 左右に押す:パン回転の制御 | - | - | - | - |
A-Bモーションボタン | ポイントA/ポイントBに素早く戻る | 現在のポイントからポイントA/ポイントBに一定の速度で戻る。 | - | スタート/エンドポイントの設定 | - |
多機能コントロールホイール | フォーカス時:フォーカスコントロール(要HJ) ロール時:±45° | - | - | - | - |
ホイール中央押し | CCT/RGBモード時:オプションの選択 | フォーカス/ロール切り替え | CCT/RGB 切り替え | CCT/RGBモード時:ライトをオン/オフ | - |
Hohem M6 の細部
▼ 右側面には、電源ボタン、充電用のUSB Type-Cポート、三脚穴があります。
電源ボタンによる電源オン・オフは長押しする必要があります。電源オン中に電源ボタンを押すと、スタンバイ・スタンバイ解除が可能です。
三脚穴については、自身で用意したアクセサリーの固定に使用します。ライトやモニター、マイクなど必要な機材を固定できるのことが hohem M6 の良い所です。
▼ 正面には ディスプレイ、モード(M)ボタン、シャッターボタン、ズームレバー(T=W)、ジョイスティックが配置されています。
M(モード)ボタンでは、モードの切替え (PF、PTF、L、POV、インセプション(3回押し))が可能です。
シャッターボタンでは半押しでフォーカス、1回押しで 写真の撮影・ビデオ撮影、 2回押しで静止画・ビデオの切り替え、3回押しで フロント/リアカメラ切り替え が可能です。(それぞれ 専用アプリ、Bluetooth接続など有効となる条件があります)
ズームレバーは専用アプリ使用時のみ動作し、デジタルズームが可能です。
慣れで解消できる部分ですが、個人的な感覚では T(テレ・望遠)とW(ワイド・広角)の方向が逆でした。
ジョイスティックでは、ジンバルをパン(横方向)・チルト(縦方向)に回転させることができます。
このジョイスティックの操作感は結構良いです。
▼ ディスプレイには現在のジンバルモードが大きく表示されており非常にわかりやすい。
▼ 左サイドには、大型の多機能コントロールホイールが配置されています。このホイールの操作感もかなり良いです。
このホイールは押し込みが可能です。押し込み操作によって フォーカス・ロール調整の切り替え、ライトのオン/オフやモード変更・調整の選択が可能です。
上の写真のホイールには 円周辺に Roll -・・-Focus と書かれています。これは2回の押し込みでフォーカス・ロール調整の切り替えが可能であることを示しています。(ドットの数が押し込み回数です)
▼ 下の写真では、CCT と RGB のアイコンが ・・・(ドット3つ)でつながれています。ホイールの3回押しでフィルライトをCCTモード、RGBモードとに切替できることを意味しています。
A-Bモーションボタンも用意されており、Aボタン、Bボタンそれぞれにジンバルでの位置(角度)を記憶させ、瞬時にその記憶位置に戻したり、AまたはBの位置まである時間で自動移動させたりすることができます。
タイムラプス撮影などで、カメラを移動させながら撮影する場合によさそうです。(空、星、雲などの被写体の動きとカメラの動きが絡み合うことによりダイナミックな見せ方ができます)
▼ 前方にはトリガーボタンが配置されています。上にある小さな部材は、ロール軸を固定するためのロックです。
トリガーボタンの操作はかなり複雑です。誤操作防止のためでしょうか、1回押しは無効、2回押し:ジンバルの姿勢リセット、3回押し:カメラ反転(180°回転)、4回押し:超広角撮影モードの切替(ロール軸モーターをスマホの前側にするか後ろ側にするかの切替)、長押し:スポーツモード、ダブルタップ後の長押しする:オールロック です。
▼ ロール軸モーター部分にはスライド式のバランス調整部材がある。スマホを取り付けた状態でバランスが保てるように調整するのとよい。
ペイロードに余裕があることから、バランスをとらなくても姿勢を保ってくれそうですが、バランス調整していない状態で使っていたらオーバーヒートで自動停止しました。調整は必ず行いましょう!
▼ スマホを取り付けるスマートフォンクランプは手動で回転ができ、スマホカメラの縦位置、横位置の変更が可能です。例えば Hohem XE の場合には、この部分がロール軸モーターになっているため電動で縦位置・横位置の変更が可能。
▼ スマートフォンクランプ部分には、AIセンサー付きマグネット式フィルライトを取り付けるための接点が用意されている。
▼ こちらがHohem M6 のAIセンサー付きマグネット式フィルライトの端子部分。マグネットで取り付けるだけでジンバル側からライト側へ電源供給される。
▼ メカニカルな固定はなく、磁力でパチンと取り付く。前向き・後ろ向き両方の向きでの取り付けに対応しているのも非常によい!
▼ ライトは小型であるが、シーンによってはあり・なしで大きく写りが変わる。自撮り時に顔を明るく見せたり、瞳に光を入れるアイキャッチとしても役に立ちそうだ。
AIセンサー付きマグネット式フィルライトについてもう少しチェックしていきましょう。
▼ ライト上部には廃熱のためと思われるパンチングがあります。(ファンはなく、自然廃熱。)推測ですが、このライト内にセンサーだけではなく、画像処理チップも搭載されているのでしょう。その処理で熱が生じるのだと考えます。
▼ ライトのサイドには AIセンサーのオンオフのスライドスイッチがあります。ライトは点灯させずにAIセンサーのみを有効にすることができます。
▼ AIセンサー付きマグネット式フィルライトの正面。左側にAI追従用のセンサー(カメラ)があります。そのセンサーの上にはLEDがあり追尾の状態を知らせてくれます。
ライト部分に書かれているCCT、RGBは機能として表示されているだけでどちらのモードになっているかのインジケーターではありません。
CCT は Correlated Color Temperature の略で色温度を意味します。RGBは 光の三原色である Red Green Blue を意味します。
CCTモードでは色味を色温度(例えば 4000K(ケルビン)で設定が可能です。ライトの色温度を2700K、3000K~6500Kまでを500K単位で調整できます。
RGBモードでは01~360の数値(多分 色相)で設定が可能です。ゲーミングPC関連のライティングのようなカラフルな色の光が出ます。これはこれで、効果的に使えるシーンもありそうです。
hohem M6 Kit を実際に使ってみた感想
hohem M6 Kit を実際に使ってみた感想を紹介します。
スマホの取り付けは挟むだけでOK。バランス調整もスマホクリップの位置調整と横方向の調整でOKでした。本格的なカメラで使うジンバルと比較するとかなり簡単。使う事に不安はありません。
スマートフォンとの連携については、Bluetooth接続、Hohem Joy アプリが必要です。Hohem Joyアプリについては取説等からのリンクで簡単にダウンロードできます。
また、アプリで撮影を起動すると接続の案内が表示され、スムーズにコネクトできます。また、ジンバル側のファームウェアアップデートもアプリから可能でした。
▼ hohem Joyアプリの撮影画面。設定なども迷わずに使え、わかりやすい。
▼ ジンバルをホールドするスティック部分は十分な長さがあり安定します。各種操作部材へのアクセス、操作感も良好です。
ある程度の重量があるため軽いジンバルよりもバランス良くホールドが可能です。(軽いジンバルだと、スマホ側の方が重くバランスがとり難い印象)
hohem M6 の制御は非常に良好で、普段通り歩いても歩行感がほとんど取り除かれたスムーズな映像になります。
また、可動角度範囲が広く、パン軸(横方向)には360°を超えて回転が可能。上下方向については可動範囲が広く高層ビルを1Fから高層階へとジンバルの角度で調整する事ができます。(ここはコンパクトモデルの hohem XEとは違う部分です)
hohem M6 からスマートフォンへの電源供給も可能です。iPhone 11 Pro を接続したところ 約 5V/1A の電源が供給されました。ジンバルの内蔵バッテリーが 2600mAh であり、モバイルバッテリーとしては容量は少ないため、緊急用として考えた方がよさそうです。
AIセンサー付きマグネット式フィルライトによる顔追従も非常に優秀で、使っていて楽しい機能でした。使用するカメラアプリに依存せずに被写体の移動に追従できるのは魅力的です。
hohem M6 Kitは性能が高く・機能が豊富。操作性もよく、スマートフォンによる動画撮影のレベルを上げてくれるスマホジンバルでした!
▼ hohem M6 Kit と iPhone 11 Pro を使って撮影した動画をYouTubeで公開しています。実際の使用感については動画で見ていただくのが良いと考えます。
hohem M6 Kit について少し気になるところも紹介しておきます。
- 電源や操作時の音が大きめ(オフ設定・音量調整できるとうれしい)
- 縦撮影・横撮影の切り替えにはひと手間かかる
- ユーザー層を考えると問題はないはずだが、サイズが比較的大きいため目立つ
hohem M6 Kit はジンバルとして充実した性能・機能・操作性にプラスしてライトがあり、充実の撮影体験をもたらせてくれるジンバルです。価格はリーズナブル。
サイズ感としては手軽とは言えませんが、スマホでプロフェッショナルレベルな撮影を求めるなら使わない手はない機材です。
hohem M6 Kit は次のよう方におすすめです。
- ライトなユーザーではなく、スマホで一段上のレベルの動画を撮影したい方
(価格・サイズ・重さがそれなりであるため) - TikTokなどアプリによらず人物移動に追従した自動カメラワークを実現したい方
ライバル機種としては、ジンバルで有名な ZHIYUN の SMOOTH 5 あたりでしょう。(最大搭載重量が280gで若干パワーに欠けるかもしれません)
▼ 今回紹介した商品はこちら!(かなり気に入っています!これを使いこなしていきたい!)
▼ 手軽にジンバルを試してみたい、軽いジンバルが希望の方には 同じ hohem の hohem XE が候補です。
XEで十分と思っていたのですが、作品作りという観点では M6 の方がおすすめです。
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