映画「君の名は。」 をトータルで 3回観ました。
2回観た時に「もういいでしょ。」と納得しようと思ったのですが、結局 3回目を観てしまいました。「君の名は。」には何かしらの中毒性があるのではないでしょうか・・・。3回どころではなく、より巨額な資金を投入して、毎日のように「君の名は。」を繰り返し観ている人もいるのではないでしょうか。
このエントリーでは「何回も観た自慢」がしたいわけではなく、「(中毒になって)何度も観てしまう」魅力や中毒性、気付いた事や感想を少々、そして繰り返し観る場合のポイント(心がけ)について語って行きます。(ネタバレを含みます。映画を見ていない方等、ネタバレを避けたい方は読まないでください!)
目次
『君の名は。』のヒットの要因とリピートしてしまう理由
”「『君の名は。』は”バカでも分かる”作品だからこそヒットした」岡田斗司夫が語る『君の名は。』ヒットの要因” というタイトルでかなり煽った記事もありました。動画自体は見ていませんが、”バカでも分かる”という表現は話題になることを意図的に狙っていると思いますが、多くの人にわかってもらえなくてヒット作にはなりませんから、確かにそうだよね・・と思います。記事の文においても、岡田さんは見方・解釈の仕方のヒントを出していて参考になります。
僕は、『君の名は。』のヒットの要因として以下のモノがあげられると考えています。
- マーケティング・メディアによる話題性による成功・・・話題になった
- 映画ストーリーの意外性・満足度による口コミ拡散・・・実際面白いらしい
ここまでは通常のヒット作の流れです。
さらに大切なのはリピーターが生まれた事だと思います。(これもヒット作としての通常の流れなのかもしれませんが・・)
このリピーターが発生した原因は
- ストーリーが「わかりそうでわからない」が故の不完全燃焼感・・・もう一度観て理解したい、もっと知りたい。細かいところをチェックしたい
- 映像表現が美しい。空気感がなんとも言えない・・・あの映像空間にもう一度身を投じたい
- 声優陣、キャラクターの表現がいい・・・もっと聞きたい、観ていたい(上白石萌音 さんがリピートする「瀧くん!」を聞きたい!)
- 印象的なシーンをもう一度見たい・・・一連の流れで「マジックが落ちるシーン」をもう一度見たい!
という欲求によるものではないか!と分析しています。(ほとんど個人の感想になっていますが・・)
アニメ映画でよくあるリピートを起こさせる方法として、期間限定プレゼントがあります。色紙をランダムで差し上げます、フィルムを差し上げます・・など。明らかに好きな方は何度も足を運んでくださいね、という商法です。もちろん、好きな方、欲しい方は何度も行くのがいいと思います。僕も魅力的な商品がもらえるのなら足繁く通うと思います。
今のところ『君の名は。』ではこのような入場者プレゼントがないのです。プレゼントが無いのにリピートしてしまうのは、本当に魅力があるからなのだと思います。
ちなみに僕の場合、初回以外の鑑賞では マジックが落ちるシーン でいつもこっそりと泣いています。あのシーン、すごいよなぁ・・。二回目の時は、場内がシーンとしている中で「ひっく(涙でる!)」となってしまいました。
『君の名は。』は、本当に人気がありすぎて、未だにチケットを取りにくい状況が継続しています。最前列や端、半端な一人席がぽつりと空いている程度です。なんだこれは席がとれねーじゃねぇか!という状況でリピートもし難いですね。
「バカでも分かる」割には不明点が多かった
先の「誰にでもわかる内容」という点においては、実は「わからない事ばかりの映画」なのです。観た後には、下記のようなポイントについて疑問を持つわけです。(例ですが)
- なぜ二人は惹かれあったの?・・映画を観た同僚の男性は純粋に、「何故恋に落ちたのかわからない」と言っていました。確かにそうですね。
- 一度死んだのにどうやって町の人は助かったの?・・中2の息子は納得がいかなかったそうです
- 三葉のお父さんはどうして家を出ていったの?
- 作戦会議の時にどうして、さやちゃん はコンビニでお菓子をたくさん買ってきたの?
- なんで テッシー と さやちゃん は東京にいるの? テッシーは何をしているの?(あの格好からしてムーの編集者!?(偏見です))
- どうして急に三葉は髪を切ったの?
などなど・・わからない事がいっぱいなのです。
「なぜなぜ」を繰り返していくと「どうして心が入れ替わったの?」という根本まで行ってしまうのですが・・。
と、いうように本当にわからない事ばかりの映画なのです。
この「なぜ」を一つでも解き明かそうと思って映画をリピートしたり、小説を読んだり、色々と調べたりしてしまうわけです。
どのような映画であれ、監督の全ての意図したものがどの観客でもわかるように表現されているわけでないので程度の差はあれわからない点は多数ありますし、観客にたいして「これくらいは読み取ってよね(察してください)」とか「わからないかもしれないけど仕草やアングル、陰影で表現しているのよ(察してください)」という部分があるものです。
RADWIMPSによる劇伴においても、様々な表現で何かを伝えようとしているはずなのです。逆回しの音を使っている部分などは、時間の前後がもつれ合う関係を織り込んでいるのだろうと思います。
うだうだ語ってもしょうがない。結局、3回目観た理由は、とにかく観たかったから!です。僕ははじめて、映画泥棒さんの気持ちが理解できる気がしました。(泥棒はしませんが)
先日映画が終わった後の隣のカッルの女性が言っていました。彼女「なんかよかった感あるよね!」これが、聞き耳を立てて聞いていた中で一番的を得た感想かもしれません。
『君の名は。』を三回観るまでのオススメルート
結論としては、どのように映画を観ても個人の自由であり、それぞれの楽しみ方だと思います。一つオススメするならば、もう一度見る前に関連知識を一歩上のレベルにあげておく事です。
「関連知識を一歩上のレベルに」というのは、「聖地巡礼やモバイルスタンプラリーにより各場面の状況を肌で感じたり、自分の目で見たりしておく」とか「小説版を読んで情報を整理しておく」とか「君の名は。 Another Side:Earthbound(これも小説)を読んで周辺の知識を得ておく」とか、そのような周辺知識、関連情報を得てから映画館に突入するのがいいと思います。
逆に、すべてを映画から読み取ってやる!というチャレンジもアリかとは思います。
僕のアプローチ方法はこのような軌跡でした。
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- 3回目を見る→劇伴(BGM)と効果音とを分けて理解できる。細かなネタに目が行くようになる。
ここまで来るのに結構お金使ってしまいましたね。映画自体は、東急レクリエーションの株主優待で観ているので映画の費用負担はありません。(スミマセン)
小説は絶対に読んで欲しい!しかも順番としては映画を観た後。
やはり、二冊の小説を読んだことが最も理解の助けになりました!これらは『君の名は。』を理解するためのマストアイテムです!
まずは、「小説 君の名は。」!
そして、「君の名は。 Another Side:Earthbound」 (角川スニーカー文庫)!
2020/9/21 現在、合本のKindle版しか見当たりません・・。
でも、先に映画を見た方がいいです。
方言のイントネーションなどの音声的なニュアンスや風景などの光のニュアンスは映画が得意とするところなので、まずは空気感を映画で取得した後で小説を読むのがオススメです!しかも必ず上の二冊の小説を読んでもらいたいのです!小説では、映画では感じられない匂いに関する描写や、セリフではわからなかった文字について目で確認することができます。「此岸(しがん)に戻るには、あんたたちの一等大切なもんを引き換えにせにゃいかんよ」というセリフを聞いて、僕はてっきり「志賀(高原)?え?長野?」と一人で混乱したものです。常識のある方には話しの流れからすっと理解できるのかもしれませんが、ちょっと僕は常識が足りないようで・・。他にも言葉にされていない感情なども含めて、映画では伝わりにくい部分が小説では表現されているのです。
特に、君の名は。 Another Side:Earthbound は読んだ方がいいです!
観る回数に応じて座席位置を変えるのもいい。
座席位置としては、回を重ねる毎に後ろの列に下がるのがいいと思います。
後ろに行くにつれて、視界の中にスクリーンが占める割合が減っていき、画面全体を俯瞰できるようになるためです。初回、二回目は比較的中央列付近で鑑賞し、三回目は仕上げに画面全体を確認できるようにわざと最後列にするというのがオススメです。左右方向はできるだけ画面中央の位置がいいです。
こんなポイントにも注目
キャラクターが使っているスマホの機種
『君の名は。』の中でも重要な役割を果たすスマホ。この機種の変遷についても注目しましょう。わかりにくいのですが、瀧くんは iPhone 6 または 6s(デザインに丸味あり)、三葉は iPhone5 または 5s(デザインが四角い)、就活中の瀧くんは、よく分からない機種(薄い、大きい)です。
*追記 書店で公式ビジュアルブックを見たら、瀧くんは 「iPhone 6」、三葉は 「iPhone 5」という設定資料の掲載がありました。
三葉は女の子だから、スマホの機種など気にならず、同じiOS だから違和感なく三年後のモデルで生活できたのでしょう。瀧くんは、三葉のスマホを見て少し古い機種を使っているなぁ・・という気持ちだったでしょうね。(OSも古いし・・とか)
三葉が好きな ハリネズミをチェック!
奥寺先輩のスカートを直した時に、ただ縫うだけでなく原っぱ、花、蝶々、そしてハリネズミの刺繍を入れていました。
小説によると、スカートの裂け目はしっかりと”かがり縫い”で綺麗に仕上げた上での刺繍糸での遊びなのです。
このハリネズミは、三葉のピンクのスマホケースにもプリントされていますね!他にもハリネズミが登場しているシーンがあるかもしれません。
あー、三葉のハリネズミ スマホケースが欲しいわぁ!(ハリネズミをイノシシだと思っていたのは内緒です・・)
瀧くんのお父さん、お母さんについて妄想する
ほとんど出てこない瀧くんのお父さん。朝食はしっかり家で食べるけど、ご飯のお供はタブレットの画面。若干冷たい印象で言う事だけは言い放って、三葉in瀧くんの脇をすり抜けて家から出て行く存在。
男の二人暮らしなのですね。
お父さん、離婚したのかな・・?まぁ、わからなくもないかな・・。
お母さん、どんな人なのだろう?お母さんいなくなった事も関係して、瀧くん喧嘩っぱやいのかな・・?
瀧くんエアコン付けないで汗をかいて絵を描いていたけど・・エアコン無いのかな?
お父さんの性格から考えて親戚付き合いとか疎遠なのかな?だから、お婆ちゃん孝行をしい面もあって、一葉をおんぶしてあげたりしたのかな?
等、瀧くんの私生活について色々と読み取るのも面白いですよね!
広告や看板をチェック
基本的なところですが、広告や看板にも各種ネタが仕込まれているようですね。
これらをチェックしていくのもいいでしょう。
「検索より、探索! FUN!TOKYO!」も出てきますよね!モバイルスタンプラリーでタイアップですからね!
この他にも色々と楽しめる部分がある映画です。気が済むまで何回見てもいいと思います!
しかし、四葉ちゃんはかわいいですね!あのキャラクター最高ですね!僕も四葉ファンです!「ご・は・ん!早くきない!」と言われる朝を迎えてみたいです。
ところで、三葉が走り続けて町長(お父さん)の元に辿り着くシーン。どうしても「あまちゃん」の名場面を思い出す。
このブログにたどり付く『君の名は。』の主たるファンはNHKの朝ドラなど見ないと思いますが・・。三葉が全力で走って、走って町長のところまで行くシーンを見ると、決まって思い出すのが『あまちゃん』第126話の名場面です。
演劇指導(確か走って駆けつけるシーンの演技です)にて、太巻(古田新太)がアキ(現 のん)に対して(散々走ってきたはずで身体的に限界だから)「生まれたばかりの小鹿のように!」といって、見本として自身の脚をプルプルさせるシーンがあるのです。ここは大爆笑のシーンで非常に印象深いのです。
『君の名は。』で三葉が走って、走ってそして父親の元へ辿り着いた時、当然足がボロボロになっていて歩くのもやっとの状況です。多分、この「あまちゃん」名場面を参考に三葉も映画で演技をしたのだと思います!古田新太の演技指導グッジョブです!(改めて見てみると全く違いましたが・・)
しかもタイミング的にこの回の本放送が 2013年の8月24日(土)だったので、三葉も『あまちゃん』を見たばかりのハズです!(いや、だから三葉は演技じゃないのだってば)
さて、そろそろ口噛み酒を作らなければなりませんので、この辺りで。(冗談です。みなさん作ってみたりしているでしょうか? 三年後に飲んだら・・確かに色々な意味でトリップしてしまいそうです!)
以上、The そうじろう が書きたいこと(思いついたこと)を取りとめもなく書いてしまいました。共感して頂けたり、ご参考になったりするところが少しでもあれば幸甚です!